HPVワクチンは国によって公費で接種するワクチンの種類、接種年齢、接種回数、1回目と2回目の間の開け方が少しずつ異なります。
多くの先進国では、9価HPVワクチンを、半年または1年あけて2回接種となっています。
(15才以降に接種を開始する人、免疫不全の病気がある人は14才以下でも3回接種です)
2019年12月現在、日本で公費で接種をする場合、2価または4価を3回接種する方法です。
2013年の12〜16才
2014年の12〜16才
2015年の12〜16才
2016年の12〜16才
2017年の12〜16才
2018年の12〜16才
2019年の12〜16才
日本でHPVワクチンを公費で接種できるのは、12-16才の女性です。この年齢になる年の3月末まで公費での接種が可能です。8月に16才になる人は、16才7ヶ月になる3月までということです。生まれた年の集団で見る際に「バースコホート(birth cohort)」といいます。
2013年の6月に「積極的接種勧奨の差し控え」となるまでは、自治体から接種の案内の届いたご家庭はかかりつけ医などで接種をしており、日本全体では70%をこえる接種率となっていました。その後、接種率が激減していることが各地の統計からわかります。
HPV vaccination crisis in Japan
HPVワクチンを接種したい人が接種をできないような状況を改善しなくてはなりませんが、すでに公費での接種機会を失ってしまった人たちがいます。
自治体のホームページには意見を伝えることのできるコーナーがあります。住民として意見を伝えましょう。
こちらは東京都港区在住の女性による投稿です。
HPVワクチンを接種する権利があるのは思春期の女性ですが、接種のためには保護者の同意、また医療機関や年齢によっては受診の際のつきそいが必要なこともあります。
こうしたハードルの中で接種機会を逃してしまった人の救済を考える必要があります。それは、公費での接種期間の延長です。
予防接種法にもとづく定期接種のワクチンを公費で接種できるようにする期間の延長の例としては、19歳未満まで公費で接種できる八王子市のMR(麻疹・風疹)ワクチンや、特定年齢男性の風疹ワクチンがあります。
HPVワクチンでこうした対応が可能でしょうか?
この件については、すでに国会議員が質問主意書を提出して、内閣府からの回答を得ています。
←定期接種から漏れてしまった人に対して自治体は独自に公費で補助を行うことができます。
←ただし、国はこの件について財政的な支援を行いません。
2013年からの積極的接種勧奨の差し控えの連絡が出たあとも接種は中止されたわけではなく、定期接種のワクチンのための予算は国から自治体に交付され続けていたからです。
現在、定期接種のワクチンの費用の9割は国から自治体に提供されています。
税収が多い自治体をのぞき、この予算を自治体は得ています。HPVワクチンのための予算が含まれています。
<参考>
・「令和元年度 不交付団体の状況」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000635010.pdf
・東京都 報道発表「令和元年度普通交付税(東京都市町村分)の算定結果について」
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/07/23/02.html
定期接種のための予算が交付されていたのに定期接種でのワクチン接種が行われていなかった事例として北海道ではの日本脳炎ワクチンがあります。ある時期まで「任意接種」扱いであり、接種をする保護者は費用を負担しなくてはなりませんでした。
しかし、道民からの要望により、今では公費で接種が可能となり、接種できなかった期間の人も公費での接種ができるようになりました(キャッチアップ接種)。
公費で接種できるはずだったのに「案内がこなかった」「ワクチン接種できるとしらなかった」「3月をすぎたら自費になってしまうことを知らなかった」人たちをどうしたら救済できるのか。各地で検討が必要です。